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ジャン・ロペスが「日本の降伏」など、『第二次世界大戦の神話』について語る


Les mythes de la Seconde Guerre mondiale – Ce soir (ou jamais !) – 15/04/16 (4/4)

ジャン・ロペス編『第二次世界大戦の神話』

約20名にのぼる歴史家の寄稿をジャン・ロペスが取りまとめた一冊です。この本をもとにインタビューがなされます。

Q :先ず東の方から話に入ります。ジョン・ケリーが万博見学を機会に最近訪日し、広島を訪れました。米国政府高官としては初めての広島訪問です。米国は現在まで原爆投下について謝罪をしていません、アメリカ人は、原爆投下により日本の降伏が早まりその後の人的物的被害を軽減できた、と主張しています。一方あなたの本によれば原爆だけでは日本降伏に不十分だったとのことですが。
L:フランスで忘れられているのはソ連軍の大規模満州・朝鮮攻勢です。長崎原爆の数時間前でした。

Q:満州には強力な日本軍がいたのに、ソ連は日本軍を簡単に追い払ったのですか?
L:満州から日本は兵力の引き抜きをしていました。 日本軍の兵力はそれほど強力ではありませんでした。 それにしてもソ連軍の攻撃速度は異常なもので、日本海から2000キロメートル離れていた距離を突進して詰めてきたのです。 当時の日本では降伏することは恥とされていましたが天皇自らがこの恥を忍んで降伏を決めたのです。 それは原爆のほかにソ連軍日本上陸と言う恐怖があったからです。 一方アメリカには核兵器の威力をソ連に見せつけたいと言う願望がありました。 ソ連を恐れていることが知られたくない日本と原爆を見せつけたいアメリカの願望が一致し、双方が原爆を日本敗戦の理由に、いわば馴れ合いで作り上げたのです。

Q: 原爆と並んでこの本には神風特攻の意味が書かれています。ヨーロッパ人にとって神風というのは全く無意味な、戦術的に役に立たないものだったと思うのですが。
L: 神風が無意味だったと言うのもこれも神話の1つです。 当時アメリカ海軍艦艇の2分の1が太平洋に展開していました。そのうちの21%が神風特攻によって何らかの被害を受けていました。 神風特攻は物的な損害を与えただけでなく米軍兵にトラウマを、日本人に対する恐怖感を与えました。 何をするわからない精神異常の気違い国民に対する恐怖です。 この狂信的な国民を相手にして日本上陸後、全土を完全支配するには膨大な人的損害を覚悟せざるを得ません。ソ連軍の満州攻勢と並んで神風特攻も戦争を早期終結に導いた一つの要因となりました。 戦争が早期に終わった結果、ソ連は日本占領政策に関し何らの口出しもできなくなりました。こうして日本の国としての根本制度である天皇制は保存されたのです。

Q: 日本海軍によるハワイの真珠湾攻撃が失敗であったとこの本には述べられていますが。
L : 真珠湾攻撃が成功だと言うのはハリウッド映画に毒された考えです。 真珠湾で失われたのはアメリカの戦艦三隻だけです。残りの艦艇は真珠湾にはいませんでした。 こうした軍事的な失敗以外にも真珠湾攻撃は政治的に見ても失敗でした。 日本はこの結果、世界最大の工業国アメリカと戦う羽目に陥りました。

Q:舞台を西に戻します。ドイツ電撃戦でのフランスの敗戦問題です。
仏軍の装備、兵器が質量ともに劣っていてドイツにはどうしても勝てなかったという説明が広がっていますがこれも神話ですか。
L:戦後70年経った今でも1930年代に軍拡に反対した人民戦線が国を裏切ったというような裏切り者探しに走っていたりしますがこれは違います。航空機、戦車、いずれを取っても仏軍の装備は質量ともにドイツより勝っていました。戦車の火力、装甲いずれもドイツ戦車より速力を覗けば優れていました。これが何故6週間で負けてしまったのか、一にかかって運用の間違いです。フランスの戦車は歩兵援護の目的で運用されましたから戦車師団を持っていません。(*ドゴール大佐の指揮する戦車旅団が唯一の例外でした)
フランス軍参謀本部はガムラン総司令官以下戦闘の速度についてまるで理解していませんでした。アルデンヌの森を貫通して来るドイツ機甲軍団に対し、仏軍は戦車師団を以てこれに対抗できなかったのです。フランスの戦車は全国バラバラに散っていましたから。
もう一つ、リスクを取る精神もフランスにはありませんでした。ドイツ機甲師団は歩兵の援護無しにフランス領内に入り込みました。横っ腹を長々と敵に晒したままです。ドイツ司令部のマンシュタイン将軍などが作戦計画立案で非常に危惧した点です。仏領内に侵入する前でさえ、アルデンヌの森ではドイツ戦車による大渋滞が200キロメートルに渡って続いていました。ドイツ機甲軍団は国境の森と仏領内の平原と、2度も危険を犯して行動したのです。
これこそ空からの攻撃の格好の目標に成り得たものですが、英仏空軍とも行動が鈍すぎました。確かに制空権はドイツに取られてはいましたが………..。フランスはここでもリスクを取りませんでした。

以下米国のソ連向け軍事物資援助の効果、バルバロッサ作戦の評価、イタリア軍は役に立たなかったという世評の3点について話は続きますが省略します。

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