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スタニスラス・ベルトンがフランス的なものは女性的であると語る


“Etre Français, ce n’est pas un passeport !” – Le Zoom – Stanislas Berton – TVL 「フランス人であることはパスポートではない!」

フランスへの感動的な愛の書『フランス人であること、娘への手紙 (Etre Français, lettre à ma sœur) 』の著者にして企業家でもある作家スタニスラス・ベルトンとのインタビューです。オーストラリアに住んでいる娘さんがスカイプを使っての親子会話の際、「わたしフランス人にはなりたくない。先ず世界市民になってそれからフランス人になるのよ」と言うのを聞いて父親としてこの本を書く決心をしたそうです。
英国人などにからかわれる「フランス世界一信念」に凝り固まったノスタルジー右派の人ですがこう言うタイプが日本には少ないのでインタビューを聴いてみました。

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スタニスラス・ベルトンがフランス人であるとはヨーロッパ人であることと語る

SB:娘のカミーユは当時オーストラリアにいましたからスカイプで会話をしていました。娘が先ず世界市民でありたい。次いでフランス国民になりたい。そう言うのを聞いて執筆を決意し、先ずフランス人の犯した悪行を記述することから始めました。

TVL:実際フランス人であることを全く習わなかった世代というものが存在したのですね。学校教育の結果ですかね。家族はこういう事柄にはまるで力がありませんでしたから。

SB:フランス人であると言う事、これが美食であるとかテロリスト事件であるとかガストロノミーとか恋愛の進め方の差とかは色々と話題になるのですが、根本であるフランス人であること、これは学校でも家庭でも教わらなかったわけです。とりわけ歴史に起源を持つ、そういうフランスの特性はどこでも教えられて来ませんでした。ですからこういった教えられてこなかった世代に対して私はこの本で伝えたかったのです。

TVL:指導者が悪かったのでフランスの分解が進められてしまったと書いてありますが具体的に悪かった指導者と言うのは誰ですか。

SB:ドゴール以降の同類項のすべての指導者が悪かった、そう思っています。大統領一人の問題ではない。学校教育からマスメディアの論調に至るまで全てが同じ方向に向かって、フランスの分解と言う同じ目標に向かって動いていました。エリートの本来の役割は伝統と文化を前の世代から受け継ぎ次の世代に引き継ぐ事ですが、これが全く無視されています。民衆は正しい。ただエリートが民衆をそして伝統を裏切っています。

TVL:フランス国民が全体として騙されていた。こういう問題の立て方は「黄色いベスト運動 Gilets jaunes(ジレ・ジョーヌ)※の主張にそっくりではありませんか。

※燃料価格の上昇や生活費の高騰・政府の税制改革への反対などを契機として、2018年11月17日(土曜日)から断続的に行なわれていた「指導者無し」で水平に編成されている反エスタブリッシュメント・反グローバリゼーションに基づくフランス政府への抗議運動。政府から一定の譲歩を勝ち取る。

SB:はいその通りです。「黄色いベスト運動」はその問題の立て方、動員方法など作業運動の組織化全てにわたってフランスの国民性そのものを示しています。フランスで悪いのは国民じゃない。エリートは理解しようともしない。エリートのできなかった事を「黄色いベスト運動」が代わりに果たしたのです。
ヨーロッパのすべてはフランスから生まれました。ヨーロッパ人であると言う事はフランス人であると言うことと同じです。フランスは常にヨーロッパの中心でありました。
1つの民族のアイデンティティーと言うのはその民族が神聖視して崇め奉るもの、それが民族のアイデンティティの内容です。フランスの場合で言えば例えばおいしいものを食べることや細部にまで気を配って働く職人仕事を賛嘆すること。女性に喜ばれるような振る舞いをすること、こういうことがフランスのアイデンティティーの中心にあります。言葉や名前の由来なども大事ですが、中心であるアイデンティティーは国民が崇め奉るものでなければなりません。

TVL :面白いのはここであなたがフランス的なものは女性的であると言い切っていることです。これはなぜですか。

SB:フランスの有名な聖堂建築を考えてください。パリのノートルダムを始めすべてが聖母マリアに捧げられています。家庭の中心には主婦がいます。主婦を通して美味しい料理や楽しい人生につながっています。
騎士が貴婦人を選び女性に純愛を捧げると言う騎士恋愛の大筋はフランス中世に生まれました。他のどの西欧国家もこれほど女性を崇めてはいません。フランス文明は女性を中心に回っている、これは我が国アイデンティティーの核心です。

TVL:ところでフランス人であるとはあなたの場合何でしょうか?

SB:ヨーロッパ人であること、なぜならフランスはヨーロッパの中心でありヨーロッパ的とはフランス的でありその逆も成り立ちます。フランスがヨーロッパのそして世界の中心にあるという意識の喪失が悔やまれます。

武器を取る女性。ジャンヌダルクやマリアンヌ(マリアンヌはフランスを象徴するかわいらしいシンボル女性)。フランス人は騎士となって、この聖なる女性に奉仕するのです。
キリスト教も我が国アイデンティティーの中核です。キリスト教に出会いそれを我が物にする、こういうことのできた民族はフランス人だけです。但しキリスト教の徳を実践するためにはキリスト教徒である必要はありません。

TVL:フランス文明の中核に美食をあげているのはなぜですか。中国やイタリアやモロッコやいろいろな国が美食の伝統を持っているのですが。

SB:数年前にフランス料理が人類共通文化遺産に指定されました。
誰かが言っていました「フランスではまず食べる。そして次に哲学的にそのことを考える。」これは他の料理には無いフランス料理の特色です。
自分の国であるフランスを自己憎悪といいますか、憎む風潮があります。
ジスカールデスタンが大統領だったころですが、彼はフランスは中程度の国家であるのがふさわしいと言いました。これはアメリカや中国といった巨大な国に対しては中程度の国で満足せよという意味です。中程度の国など誰が愛せるでしょうか?ビクトル・ユゴーが表現したようにフランスは偉大な国家を目指すべきです。
偉大な国家の民は偉大な事柄を考えます。並の国家の民は中程度の事しか考えられません。さらに国家あるいは国民の同質性が大切です。カナダもオーストラリアも韓国も、うまくいっている国には同質性があります。
1968年のいわゆる5月革命はごく少数派の人間が自分たちの考えを大衆に押し付けたことだったと思います。「黄色いベスト運動」の場合はその逆で、今まで表立って言えなかった事柄をフランスの民衆が語り出したと言うことです。
21世紀の地球規模の競争社会では自分たちのアイデンティティーを発見しそれとつながりを持てた国家が最も有利な立場に立つでしょう。
(終わり)

 

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