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エリック・ゼムールがオーストラリアの仏との潜水艦建造契約破棄 について語る


エリック・ゼムール:オーストラリアによる« 世紀の契約 »破棄 に対する見解
Éric Zemmour : la Rupture du « Contrat du Siècle » australien

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エリック・ゼムールのオーストラリアによる« 世紀の契約 »破棄 に対する見解

事件の概要

フランスがオーストラリアと結んだ潜水艦建造についての« 世紀の契約 »がオーストラリアによって破棄されたのはご存知でしょう。 横合いから出てきたアメリカがフランスとの契約を破棄させ、オーストラリアに3隻の潜水艦を建造する契約を結びました。フランスが契約したのは通常型潜水艦でしたがアメリカがオーストラリアに建造するのは原子力潜水艦です。 経済的に言えば数十億ユーロの損失になりますが、しかしより大きな問題は経済的なことがらではなく、フランスの外交に関わるものだと私は思います。
フランス当局はこの事態を予想できなかった。3ヶ月も前に米英豪軍事同盟が発足した事。米国が同盟国に米国製兵器を常に売りつけようとしてきたこと。これらの情報が分かっていたのに仏政府も仏軍当局も何もしてこなかった。米国要請を受けてフランスがアフガニスタン撤収作戦で米軍に協力した点を米国は忘れていない。だからオーストラリアを契約破棄に焚付けたりはしないと、無邪気にも信じていたのです。
情報筋によればマクロン大統領は6月時点で既にこの予測を知っていたが対米関係の重要性を考慮して米国との紛争を避けた。これではなお悪い!
契約不履行を巡る法律戦に備えて質量ともに十分な弁護士陣を編成しておく、フランスの意向を予め公表しておくなどいろいろ手は有ったのにです。

第一の教訓:アングロサクソン

アングロサクソンの仲間意識は強烈で、それに比べれば仏米関係は堅固なものではありません。そして更に、アングロサクソン国家でなければ米国の与える種々の恩典に与れないという点です。アフガニスタンやマリでフランスは努力して対米協力を履行してきましたが、何の考慮も払われませんでした。

第二の教訓:自主防衛

アメリカの敵意に対しては反撃あるのみです。打撃をアメリカに与える。例えば今年12月に予定されている対支那防衛同盟にフランスは参加を留保する事ができます。支那の軍事力に脅かされているのはアメリカであってフランスではありません。我々は支那と戦争をしているわけではない。ですからこの新デロス同盟(注:アテネを盟主とする古代ギリシャ諸都市が結んだ対ベルシャ攻守同盟)に加盟し、アメリカの指揮下に入る必要はありません。丁度1950年代にドゴール将軍がアメリカの指揮下に入ることを拒否したのが良いお手本です。
NATOについて言えば、米国はNATOをなによりも米国製武器の販売先として認識しています。先ず米国製武器の独占販売を目指しそれが難しいときは優先的採用を勧める。そもそも1991年にソ連が崩壊したときにNATOは不要になったのです。

他の欧州諸国の潜水艦問題に対する態度を見ると、ドイツのスコーテクはフランスの競争相手として立ち現れ、西欧が一体となって豪州へ売り込みをかけたとはとても言えません。スエーデン企業も同様です。
英国はEU脱退で身軽になったのを利用し、同じ身内アングロサクソンである米国の手先を務めました。お仲間にニュージーランドを加えたファイブ・アイズというアングロサクソン情報共有組織の存在も忘れてはいけません、フランスはこの様な組織には絶対加盟しないでしょう。新型戦闘機ゃ戦車の開発に際しドイツがフランスと共同歩調をとるかどうかは不明な問題です。従って今後国防問題についてはフランスは単独行動を取らざるを得ません。
ドゴール時代の自主独立に立ち戻るのです。
(終わり)

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