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アンドレアス・ロダーが二つのドイツ恐怖症について語る

Es gibt eine neue Angst vor Detschland. Historiker : Andreas Rôdder
歴史家アンドレアス・ロダー:ドイツに対する新たな恐れ

アンドレアス・ロダーは新世代に属する歴史家だそうです。論調はメルケル風の中道保守を思わせます。

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アンドレアス・ロダーのテレビインタビュー

2つのドイツ恐怖症
Q:新しいドイツ恐怖とは何でしょうか?
R:ヨーロッパでドイツが恐れられている、反ドイツ感情に何かと火が着きやすいというときは2つの場合があります。ドイツが指導性を発揮して行動を起こそうとすると、ナチだといって非難されますし、指導力を発揮しなければ「ドイツは何をしているんだ」と非活動が非難されます。
Q:最近ポーランドの外務大臣が発言しましたね。
R:2015年の大量の自称シリア難民受け入れの際は周辺諸国やEUと相談せずにドイツが単独で受入れを決定し、他国を巻き込んでしまいました。一方もっと前のギリシャ金融危機の時は他国からドイツの財政支援を期待する声が高かったのにもかかわらず、最後まで動きませんでした。ドイツ国民の「無駄遣いしてきた外国政府の借金を、なぜドイツが払わねばならないのか」という均衡財政支持の声が強かったのです。
ドイツの指導性や行動に対する恐れが従来のドイツ恐怖症で、非活動指導性放棄への非難が新しい反独感情だと言えます。

原因と対策
R:ドイツがヨーロッパの中央に位置し、かつ強力な国であることが根本原因ですが、これは事実としてどうしようもない。
Q:ブリュッセルである国の外相と話をしたとき、「ヨーロッパ中心部から、中から外交すれば良い」と言っていましたが……….。EU公務員にドイツ人が多くなりすぎて他の国籍の人間が不満を抱いているという話も現地で聞きました。
R:「中から外交する」がどういう意味なのか私には分かりません。公務員の数でEUを動かすというのは間違いです。
ギリシャも含めてヨーロッパ諸国はこの200年間、いずれもドイツと戦って被害を受けています。そのトラウマが原因でドイツと聞くと過剰反応を起こします。しかし非活動への不満というものはドイツへの期待なのですから、軍事大国であるよりも経済大国である方が現在では影響力は強いので、他国の抱くドイツイメージに配慮しつつ、ヨーロッパが一体となって行動する事により世界の中で発言力を維持できるよう、必要なときは指導力を 発揮するべきだと思います。
他の国がドイツに対して抱くイメージに配慮しつつ自分自身の力量に自信を持ちつつ、このバランスを取ることが大事だと思います。

フランス
とりわけ大事なのはフランスとの関係です。1870年あるいは71年以降フランスはドイツにシステムとして負けていますのでその分だけトラウマが深くなっています。 一方EUを脱退したイギリスとの関係を構築する場合でも、アメリカとの関係においてもフランスの協力は絶対に必要です。EUをヨーロッパの政治連合体として考えれば、フランス・ドイツの2つが並んで 初めてエンジンが動き出すと言うものです。

ドイツロマン主義
Q: 2015年にシリア難民百万人近くを受け入れた時、近隣祖国はドイツが相談無しで、勝手に単独行動をとったと非難しました。他方ドイツ国内では人道主義の波がみなぎり、Willkommen Kultur (welcome culture) と呼ばれたものです。近隣諸国ではなぜドイツに対して ヒトラーであるとかナチであるとか、反独感情が直ぐに燃え上がってしまうのでしょうか?
R: それには長い歴史と伝統があります。19世紀の初め、200年前ですが、フランスやイギリスには国民国家が成立していましたがドイツには国民国家は未だ成立していませんでした。 そこで当時のドイツ人は自分たちのことを Kulturnation 文化国家と名付けました。そして同じ言語、文化、伝統などを持った人々の集まりが国民国家を越えて集合し、それが文化国家になると考えたわけです。 そして文化国家の国民は、国民国家の国民よりも文化的道徳的に優れていると考えたわけです。 これをドイツロマン主義と呼びます。ドイツロマン主義は今でも残っていてシリア難民受け入れに当たって、多くのドイツ人は自分たちの道徳性に感動しました。見下された他国民は当然面白くありあせん。

定義
Q:ありがとうございました。簡単にお答え下さい。
ドイツとは?
R:ヨーロッパ中央にある大きな政治勢力。経済的現実主義者
Q:ヨーロッパとは?
R:EUという刻印を受けた、しかし単なるEUを超えた存在
Q:歴史とは?
R:自分を知るためには絶対眺めなければならない、しかしよく見えない鏡
(終わり)

 

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