Gauland (AfD) zu Russland 2021
ドイツ衆議院ガウラント議員(AfD)の演説『ロシアについて』
ドイツ右派政党AfDは現党首のヴァイデル女史が北京語を話す事からも分かるように親中国感情をその通奏低音の一つにしています。欧州の反米諸派共通の現象の様で、その点反シナを鮮明にしているフランスのゼムールは例外なのかもしれません。前党首ガウラントの説く親ロシア論は党内親中派に対抗する意味もあるのでしょうか。
アレクサンダー・ガウラント(AfD元党首)が議会でウクライナ問題についてロシアの立場に理解を示す
議長閣下、同僚議員の皆さま、
まず初めに外務大臣(連立与党となった緑の党の女性議員)が不在であることを叱責したい。外交問題の論議であるのに外相欠席とは何事か!後ほど正式な謝罪をして下さい。
ロシア・ウクライナ国境で起こっている事態は気分の良いことではありません。元来こういうことは外交努力によって緊張を緩和すべき事であり、我が国政府は諸外国と協力して沈静化に努める事が正しい。一方的に事態の責任を問うというのは誤った道筋です。
外交は現実から出発せねばなりません。そして目下の現実は、ロシアが現在の国境地帯の秩序に満足していないという事実です。ウクライナと白ロシアはポーランドやハンガリーと同じ扱いができる国ではありませんし、バルト三国のようにスターリン=ヒトラー協定によりロシア勢力圏に組み込まれた国でもありません。我々としては第一に当事国全てが満足する様な協定の締結を目指すべきなのです。それに対して西側諸国は、「もはやかつてのソ連勢力圏のようなものは存在しないのだから、これら諸国は誰と同盟するか自由に選択すべきだ。」と論じています。たしかに民族主権の立場からは正しい主張でしょうが、政治的には成り立ちません。
1961年のキューバ危機の際、米国は「自国の裏庭にミサイルを持ち込まれるような事態は世界平和の観点から見ても見逃しがたい」と言い張りました。キューバの国家主権を尊重できる事態ではなかった。よく似た事がフィンランドの中立です。フィンランド国民が中立を望んだわけではありませんでした。交渉当事国の自由決定権を制限する、法的には全く根拠の無い、歴史的政治的現実というものがあります。
ですからロシアが見逃し難い挑発行為と受け取る様な事柄に拘泥するのは賢明ではありません。ウクライナやジョージアの西側同盟への加盟がこれです。ウクライナの安全を保障する手立ては武器供与やNATO加盟の実現ではなく、ロシアにとっても受け入れ可能なウクライナの中立です。ロシアが大帝国を失ったという自己幻影に悔しい思いをしている間は、同国相手の交渉は慎重であるべきです。NATOはロシアに向かっての勢力膨張をすべきではありません。諸民族の平和な共存をもたらすものは民族自決原則ではなくて、賢明な政治判断なのです。我々ドイツ人はこの認識を対ウクライナ政策の根本に据える必要があります。
以上です。
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