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アラン・ジュイエが「混乱の世界の中での西欧の位置」を語る

 
アラン・ジュイエ Alain Juillet
総理大臣付属情報院で経済情報部門の責任者であったアラン・ジュイエは現在国家安全総合学院対外部門責任者の地位にあります。空挺部隊隊長から軍歴を開始し、現在でも仏英両国で有資格の予備役陸軍大佐です。
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混乱の世界の中での西欧の位置

R前回は債務問題を取り上げましたが今回は地政学の一環としてヨーロッパを取り上げます。ヨーロッパはどんな見方からしても相対的に弱体化しています。米国の家来という姿が明瞭になっています。しかし米国が西欧を必要とする度合いは支那と覇権を争う必要上強くなっています。とりわけドイツはこの図式にぴったりあてはまります。
多極化した世界をどうグループ分けするかの問題ですが、先ずBRICSなるグループは存在しない事に気付いて下さい。世界認識に類似性のある国家が似たもの同士で緩やかに集まっているだけです。これがいわゆるBRICSですね。もう一方ではヨーロッパや北米などの国々がこれもまた世界認識の類似性ゆえに緩やかに集まっているだけで、かつての米ソ2極対立のような強い凝集力はありません。
人口の多さから言って支那、インド、米国、インドネシアと順位をつける見方もありますが、これも説明力は大して有りません。いずれにせよ西欧は孤立化していきます。
Qマクロン大統領はフランスの独自核兵器保有原則を放棄して、国家より上の存在、例えば欧州諸国の共同体の様なもの、に核兵器の管理を委ねても良いとまで言っています。
R今のフランスが現代戦にどこまで耐え得るのかを確認しておきましょう。最前線から80キロメートル後方に離れた場合を想定して6日間だそうです。今の西欧諸国に古典的戦争を遂行する能力が無いことは今度のウクライナ戦争を見ても分かります。
今までのところ分かって来た事は以下です。
(1)ロシア兵は防御戦に強い。非常に優秀です。ウクライナ兵は地形を初めとして戦場の現状を把握しそれを利用する能力に長けています。しかし攻撃となると英国の某軍事機関推定によるとロシアは現在まで
50万人の戦死者を出している。通例上この数字は戦死傷者150万人に相当します。無謀な肉弾突撃戦法に因るものです。
2)ロシア軍は小集落を一つづつ陥してはいますが戦争全般から言えば大した前進とは言えないものです。前線の現状は「凍りついている」と言えるでしょう。
3)戦争が始まって2ヶ月後両者はトルコ国境で停戦会談をしています。あの時なら解決策を見つけられた筈でした。しかし英国のジョンソン首相(当時)がウクライナのゼレンスキー大統領に「あとしばらく持ち堪えればウクライナは勝てますよ」と耳打ちしてウクライナ側の熱意に水をかけたと言われています。
Q:共通利害を持つ国々が緩やかに集まっている。これがいわゆるブリックスと仰いましたが、それでは西欧諸国の共通利害とは何ですか?
R:西欧諸国の共通利害とはアメリカの利害のことです。アメリカは西洋の代表格ですから。ところでアメリカの利益とは何でしょう。それは基軸通貨としてドルが使われ続けることです。部分的にでもドルの代わりに例えばヨーロッパ共通通貨ユーロとかが決済通貨になった場合、アメリカは財政運営に規律が求められるようになります。これは彼らにとっては最大の不安材料でしょう。輪転機を回して勝手に刷ったドルでの支払いが出来なくなる訳ですから。リビアのカダフィ大統領、イラクのサダムフセインなど石油代金の支払いに米ドル以外の通貨が使われそうになった場合、大きな政権転覆事件や戦争が起こりますね。何故でしょうか?
R:パリオリンピック開始の前にBRICSがオリンピック前哨戦を実施すると言う話もありますね。国家としてのロシア参加を認めての開催です。
(終わり)
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