Putins Krieg – Geschichte als Waffe | Terra X プーチンの戦争ー歴史を武器に
以下3人のロシア東欧専門家が頭で考えては分かりにくいプーチンの行動を説明します。理性よりも幻想、費用対効果重視の合理志向よりも、壮大な物語の中に身を置いた、ロールプレイの様な自己認識がプーチンの現在の行動指針だと結論付けています。
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Katja Gloger カティヤ・グローガー女史
Prof. Jan Kusber ヤン・クスバー教授 髪の薄くなっている男性
Prof. Martin Schulze-Wessel マルティン・シュルツェ=ヴェッセル 教授 痩せぎすの男性
プーチンのウクライナ侵攻の本当の理由とその深層心理
今までのプーチンからは考えられない行動
プーチンは彼独特の歴史解釈を悪用して今回のウクライナ侵略の言い訳にしています。プーチンは今まで、西欧の政治家や学者からは、転んでもただでは起きない人間、損得勘定に敏感な現実派と見られていました。それがなぜ得にもならない他国侵攻を始めたのか、それはプーチンがウクライナを外国とは思っていないからです。
ウクライナは国ではない
ロシア、ウクライナ、白ロシア(ベラルーシ)。
プーチンの世界認識の中でこの3国はスラブ民族中心主義の中核をなすリーダーです。3つの独立国ではなく、分かちがたく結合した3地域であるに過ぎません。その差は文化上は方言の差であり、歴史的に独自性が生まれたのは18世紀のピョートル大帝以降に過ぎません。ですから西欧接近が甚だしいウクライナはスラブ民族の裏切り者として扱われてしまいます。3地域中の指導者は勿論モスクワ公国後継者たるロシアです。モスクワが全てを指導するという発想はソ連時代と変わりません。
クリミア
クリミア半島侵攻の理由づけとしてプーチンが上げているのは、「元来クリミア半島にはコサックが住んでいた。これがオスマントルコの侵略によりクリミア半島はオスマン帝国の支配下に入ってしまった。しかし18世紀にエカテリーナ女帝がトルコ人を追い払い、半島をロシアの領土にした。エカテリーナ女帝以降、半島は安定したロシア領だったのにスターリンの死後ウクライナ人だったフルシチョフがクリミア半島をロシアからウクライナのものに変更してしまった。この間違いを正すのが侵攻目的だ」というわけです。
なお現在港町及び観光都市として人気があるオデッサはエカテリーナ女帝の時代に暖かい地方を求めて移住して来たロシア人及びロシア系ユダヤ人富裕層によって開発された街です。
歴史ゲームの主人公になった気分
例えば今回の侵攻名目であった東ウクライナ・ドンバス地区での、ロシア語を話す少数派をウクライナ人の虐待から保護するという名目は第1次世界大戦において、セルビア人をロシアの皇帝であったニコライ2世が保護するという参戦理由と並行しています。セルビアはスラブ民族の一部で仲間ですからスラブ全体の保護者であるロシア皇帝がこれを保護するのは当然だと言う主張です。
プーチンはお手本となる人物を選び自己をその人物になぞらえて行動を起こしています。イワン雷帝、ピョートル大帝、エカテリーナ女帝、アレクサンドル3世といったところがお気に入りの様です。
(終わり)
このドイツからの見解は以下の記事の内容を補強しています。
コメント
このブログで公開されたプーチンの演説を何度も読んだ。
一言でいえばプーチンは政治家ではない、何かロシアそのものだ。
彼は真剣にロシアと向かい合っている。
彼が演説の中でキング牧師の言葉を引用しているのを見て驚いた。
西洋の政治家の中でキング牧師の演説を引用するのはプーチンだけだろう。
東アジアでは今もアフロ系に対する偏見は根強い。
彼はロシアをロシアの歴史の中で理解しようとしている。
誰もそれは止められない。それは苦しい旅だが彼はそれを望んでいる。
彼がロシア正教を信じているのは分かる、信仰の自由も信じている。
私の疑問はロシアはヨーロッパロシアとロシア中央部、東部から成立している。
ロシア東部には多くのアジア系ロシア人が住む。
又、ロシア東部にはユダヤ人自冶州も存在している。
ユーラシア大陸には西から東、東から西に何千年に渡る交流の歴史がある。
今回のロシアのウクライナに対する軍事進攻はヨーロッパに対してアジアの壁が存在すると
プーチンは考えるだろうか?
そうであれば多くのアジア諸国は遅かれ早かれプーチンを支持するようになる。
北朝鮮人民軍は間もなくウクライナでロシア軍を支援するだろう。